No.16 選手の気持ち
綱渕から小部屋№13を見て、私宛にメールがきましたので、若い部員の皆さんのために掲載します。参考にしてください。
<九州オープン>
総監督の小部屋、拝見させていただきました。
やはり、監督と選手の感じ方は少し違うみたいですね。僕が、高橋さんがよくなったと思ったのは、準決勝の途中からでした。球持ちが良くなった感じがしたのと、タイミングが早くなったので足が動いて自分の球をしっかり打っていると感じました。
正直その日は、一回戦からの悪いままの高橋さんで終わると思っていたので、(今思えば、一回死に掛けて復活するのはいつもの高橋さんですね)準々決勝で総監督が高橋さんに良くなってきたと言った時は、気休めかなと思っていました。ほんとに準々決勝からよくなっていたんですね。
僕は一回戦からサーブ・レシーブが全然だめで、サーブは昔からへたですけど、セカンドレシーブで攻めきることができず、そんな甘いレシーブをしてみれば、「なんだその打ちかたは、しっかり振れ!」と、後ろからありがたいお言葉を頂き、「キャー殴らないで!!」と祈りつつ、甘く情けないセカンドレシーブでした・・。
僕がタイミングを修正できたのは、準決勝で一回足がつりそうになったのがきっかけだと思ってます。その時思ったんです・・・このまま足つって負けて北海道帰るのか、なら足つってもつるまで思い切り動いて、潔くかっこつけないで大きな声出してひたすらガムシャラにやろうと・・・そこからですかね、総監督の罵倒をあまり気にせず思い切って動けるようになったのは。
そのときには冷静さを欠いたといいますか、できあがったのか、「取れば文句ないんだろ、相手のタイミングも高橋さんのタイミングにも慣れてきたし、今取るから黙って見てろ!」なんて口が裂けてもいえないような、喧嘩腰でいました(笑)。
決勝戦は冷静さと気迫がうまくバランスが取れて、その日初めて挑戦者としてはじめから、ゲームに臨む事ができました。不思議とそうゆうときは負ける気しないんですよ。ゲームにものすごく集中できますし、すごくテニスが楽しいんです!!
高橋・綱渕の準決勝からの勢いもあり、相手が少し受け手ぎみでゲームに入ってくれたのが大きかったです。途中から相手が攻めてきたり何かいろいろやってきましたけど、時すでに遅しで、勢いで押しきった印象です。途中何本も取られながらも最後まで打ち切った高橋さんはすごいなと正直思いました。そのおかげで僕も最後まで、いい感じのままのタイミングでいる事ができました。相手の後衛はしっかり僕好みのタイプでしたので苦にはなりませんでした。
今後、北海道選手権・東日本選手権・天皇杯などと高いレベルでの大会があります。今回の九州オープンのような一回戦の入りかただと勝ち抜くのは無理に等しいと思っています。自分を過信せず、一対戦一対戦先を見すぎず臨まなくてはいけないことを、改めて思い知らされました。精神面が未熟なことを恥ずかしく思います。もちろん技術もまだまだです、ハイ。半人前の僕ですが、これからもご指導ご鞭撻のほうをよろしくおねがいします。 長々と、まとまりのない文章にお付き合いいただきありがとうございました。
綱渕 登
綱渕からこんなコメントを貰いましたと、高橋に伝えたところ皆さん宛てに下記のような感想文を送ってきました。高橋らしいというか・・・・・・・・・・・・・・・・。
<九州オープン>
空は青く、太陽の光がさんさんと降り注いでいて、別世界にきたような感覚。
2、3日前に雪が降る中、練習していた私にとっては夢のような世界でした。
夢心地でいたのもつかの間。しまった、と思ったときにはゲームカウント0-3。そうです。私は、福岡観光にきたのではなく、「九州オープン」(4月29日)に挑戦しにきたのです。それが、1回戦からびびっての0-3ですから。本当にはずかしい。
ちょっとだけ話しを戻します。福岡に向かう飛行機の中で総監督にこんなことを言われていました。「1回戦0-4で負けたら、1ゲーム1万円以上になる。今の出来なら有りえるぞ。」総監督は分かっていたのです。心のどこかでそんなことがあるわけがないと思っていた自分がはずかしい。勝負はそんなに甘くはありませんでした。「相手の嫌がるところがどこか考えてみろ。」とゲームカウント0-3の時にアドバイスを受け、それから流れが一変。みるみるうちに3-3。ファイナルに行くまでにマッチポイントを握られたこと6度。相手のミスと総監督の叱咤激励、北海道から熊本へ移った浦崎、そして、九州の丸山さんを始めとする方々の大きな声援に助けられ、4-3の逆転勝ち。自分達の甘さがもろにでて、顔から火が吹き出そうなくらいはずかしい試合でした。総監督は火を噴いていましたが・・・。何のために九州まで来たのか。考えさせられる試合でした。
「1度死んだペアは強い。」こんな言葉を耳にしたことはありますか?負けそうになってぎりぎりで勝つと思いきったテニスをする。吹っ切ったテニスをすることで優勝する可能性が高くなるというのです。何度か私も経験がありますが、まさか今回まで。一度も楽なゲームはなく、ほとんどがリードされる展開でしたが、するするっとノーマークの私たちが決勝へ。決勝はもちろん韓国の申・金。決勝になって一番気持ちが落ち着きました。一番の目的までたどり着いたことからの安心感からでしょうか。後は、自分達の力が通用するか試してみるだけでした。結果は4-1で勝利。誰が、高橋・綱渕が優勝すると予想していたでしょうか?ゲームは分からないものです。1回戦0-4で負けそうだったのに終わってみれば優勝なのですから。
大会を終え、強く感じたことがあります。それは、ゲームは生きているということです。「流れ」を読める選手は強く、そして勝ちに近い。ゲームの神様が与えてくれたチャンスを失えば、たちどころに負けの階段を転がるように下りることになり、逆にチャンスをものに出来れば力が上位の選手にも勝てるということです。技術だけを鍛えるのではなく、「流れ」を読める、状況を把握できる力をつける訓練が必要だと強く感じました。
私は今、北海道に戻り多くの仲間と共に切磋琢磨をし、目標である日本一を目指し日々努力をしています。仲間がいることを当たり前だと思わず、感謝の気持ちをもって前に進みます。また、新しいことに挑戦する気持ちを大切に、常に新鮮な気持ちでソフトテニスに向き合おうと再認識しているところであります。
最後に、応援してくれた北海道の皆さん、また、福岡の丸山さんをはじめとした九州の方々、北海道から熊本に戻った浦崎、本当にありがとうございました。皆さんの気持ちが高橋・綱渕を優勝へと導いてくれたと思っています。自分たちの力ではない、目に見えないものが高橋・綱渕にチャンスを与えてくれたんだと。そして、決勝戦で温かい拍手を送ってくださった九州の方々、本当にありがとうございました。あのような場でプレーできたことをうれしく思います。人間として一流、プレーヤーとして一流を目指し、前を向いて進みます。
高橋 英行
昨日、友人から見舞いの手紙をいただきました。
『まずは治療に専念することです。
まあ、口で言うのは簡単で、当人にとっては無理な話であることは重々承知していますが‥・・・。
でもまあ、怪我をしたオオカミが傷口を舐めつつ、じっと回復を待つように、充電期間だと思って、今は甘えて、回復を目指してください。』
怪我をしたオオカミのくだりが少し気になりますが・・・・・・・・。
佐 藤
「選手にとってライバルは自分自身であり今日までの自分です。明日は今日の自分を乗り越えて、大きく成長して欲しいと願っています。」