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全日本選手権(天皇杯)・国体(静岡)という大きな勝負の大会が終了しました。
両大会ともに、応援していただいた皆様方のご期待に添うことができない結果となりましたが、天皇杯は私にとって改めて勝負という現実を直視させてくれた、貴重な大会でございました。
川島・三浦組は北海道ではじめての第2シードとなり、計り知れない重圧であったと思われましたが、川島は心が落ち着き踏ん切りがついた状態で、1回戦からフルパワーで戦ってくれました。しかし、三浦がすべてのゲームで30パーセント以下という信じられない状態が続き、久々にまったく前が見えない充晴が大阪マリーンパークのコートに存在していました。
初日は1試合だけでなんとか金子・吉竹組(京都)に5対2で勝ちあがりましたが、2日目は小村・後藤組(岐阜)に5対4、北原・藤沢組(埼玉)に5対4、室谷・藤原組(千葉)に5対4、最終試合はどこのコートも試合が終わり静寂の中で、花田・川村(京都・岡山)とベスト8をかけての戦いとなりました。最後のほうは試合間隔が10分という過酷さもあり、両名ともにフットワークが少し乱れてきておりましたので、1・2ゲームが全てでありましたが、相手後衛の単調で短いストレートロブにまったく反応できず、動かされたところを仕掛けられ、それを気にしてミスを重ねるという完璧な負けパターンでございました。
しかし、ペアとしてはバランスを欠きながらも出来の良い方をうまく使い、なんとかフラフラになりながらでのベスト16は決して下を向くものではなく立派な成績といえるのだと思います。
川島の追い詰められてからのスーパーショットの連続(特にマッチポイントを握られながらのストロークのコースとスピードのハイレベルさ)と三浦の悪い中でも歯を食いしばって必死に前を向いている姿勢が印象的でした。
勝負はなんと不思議であり厳しくすばらしいものだということを改めて教えていただきました。両名と天皇杯という大会に心から感謝をしたいと思っております。
これからの選手たちがたくさん見ておりました。川島・三浦の必死さとここでは負けたくないという強い意思表示に、きっと何かを感じ取り次の自分たちの勝負に活かしてくれるものと信じております。
「人生には上り坂あり下り坂ありそしてまさかもある」とどなたかが言っておられました。まさに実感であります。

静岡国体は成年男子の2回戦が始まるころから天候が怪しくなり、プレー中はかなりの雨に打たれての厳しい戦いでございました。
相手は香川県。国体はどこにあたっても気が抜けず、この戦いもまた大接戦でございました。1番手は川島・三浦組。今度は現地に入ってからほとんど球を打てない状態の川島を天皇杯から徐々に復調してきた三浦がカバーするという展開になりました。川島はストロークのインパクト時に後頭部がハンマーで殴られたように痛む状態が何日も続き、大会前日に県立病院で診察をしたところ、脳卒中・くも膜下出血の可能性を指摘され、急遽脊髄から液を抽出しての精密検査を受け、処置をして頂いての本番でありました。
相手後衛は明治大学の2番手、しっかりとしたストロークから相手前衛を攻めてくる形は知っておりましたので、三浦も十分対応できておりましたが、なにせ大粒の雨の中、川島のストロークが生かせずゲーム感も今一歩でファイナルで押し切られてしまいました。
それにしても相手後衛は前衛が立て面処理の体制ができていないとしるや、7分程度のスピードで前衛を攻めたて、コースをしっかりと読みフォローしまた攻めつづける形は見事でありました。さすが、明治というところでしょうか。
2番手は柳沢・市川組。まさに圧勝でした。相手後衛が東日本準優勝の市川を強く意識してくれて、最後まで見て打ってくれたのが大きなポイントでした。柳沢も本来はハードヒッターなのですが、大粒の雨で自分自身での割きりができたようで、惚れ惚れするような繋ぎに徹した大人のテニスでありました。市川は高校時代の恩師(25年前に教えていただいたき、今年定年を迎えられた)新潟の外山先生の前での立派な勝利でございました。
3番手は中沢・楢山組。前日まで絶好調、そして一番ラケットが振れていた中沢のときにまた雨が激しくなり、最後は香川県今村選手の経験に裏打ちされた勝負の連続に、ファイナルで力尽きました。
惜しむらくは、晴天のときにやらせてやりたかったのですが、それはどこの県も同じ思いであるはずです。
「天のやることには逆らうことはできません」与えられたその環境でベストのパフォーマンスをすることが大切なのです。

敗れたそのとき、いままで皆を影で支えてきた川崎好昭コーチが何かを掴んだようです。彼の準備が整い次第、早い時期にバトンタッチをしたいと思っております。

ご声援いただいた皆様、心からお礼申し上げます。
「勝つものには偶然があり、敗れるものには必然がある」と申します。敗因を今一度整理し、前に進むしかありません。
攻守の切り替えが早い、スピード感溢れる選手を育てていきたいと思っております。
心からの感謝を・・・・・・・。

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