No.6 先手

50歳になって初めて点滴というものをやってみました。なぜか今まで機会が無く・・・。いや、本当は避けていたのですが、お医者さんの強引な勧めと妻の強い叱責で「清水の舞台から飛び降りる」つもりでやってもらいました。
元来、先が尖っているものが嫌で注射が苦手、ましてや長時間針を刺しっぱなしの点滴など考えるだけでオゾマシイ感じでありましたが、妄想の世界とはまるで違い1時間の夢うつつの世界でありました。8月下旬から体調が悪く社会人選手権から帰宅後、生まれて初めて四十度の高熱が出て三日三晩うなされました。試合で休暇を取ることが多いので風邪では仕事を休むことは出来ないのが現状ですが、今回ばかりは2日間だけ午前勤務にしてもらいました。症状に気づき早く対応していればと・・・。

現在も体調不十分ではありますが、最大の目標である天皇杯に向けて選手・指導者ともに最終調整というところでしょうか。

さて、すべてのソフトテニスマン最大の目標といっても過言ではない「全日本選手権 天皇杯」があと数日となりました。この大会は予選を戦いぬいた精鋭たちが日本で一番強い選手を決めるガチンコ大会であり、ペース配分とモチベーションの維持そして経験がものをいう三日間の日程、そして選手権唯一の9ゲーム、一度負けたら終わりのトーナメント戦、どれをとっても最高の大会に相応しいものであります。
「この大会を目指し優勝を狙っています」と話をすると、「何をたわけたことを」と笑われた時代もございましたが、そのときから我々の「志」を理解してくれて、心からのエールとご指導をいただきました方々のお陰で「川島・三浦」が何とか手が届くところまで来ることができました。
現在の成績そして状態ともに100点満点の90点といったところでございます。30点から60・70点・80点は可能ではありますが、90点からの1点2点は至難の業であります。人の見ていないところで、どれだけ自分を律して努力できるかがポイントとなります。
天皇杯において、前年それなりの成績を収めたチームの翌年の戦い方をここ数年チェックをしてまいりました。負けの試合で多くある形は選手本人そして関わりある人たちの不安感と戦術の不徹底であります。
対戦相手は1ゲーム目から思いっきりの良いプレーを仕掛けてきますし、モチベーションも高水準を維持してきます。応援団の声援も力強く、技術の差が少ない以上競り合うのは当然のことであります。
それに引き換え、前年度に成績を収めたほうは、どちらかというと静かな船出をすることが多く、先手を取られポイントをリードされそして徐々に心に余裕が無くなり、無理をせざるを得ないところを狙われ、狙いすぎて惜しいミスを連発し、目の前のポイントが欲しくなりまた無理をするという悪循環が多く見受けられました。
「川島・三浦」も昨年は前年ベスト8の錘を背負い、思ったほどのテニスができませんでしたが、自分たちの戦い方と自分自身の強みの部分を信じきったことが幸いし、一つ上のベスト4に駒を進めることができました。しかし準決勝では「浅川選手」の配球を読みきりながらの敗戦でした。くやしい結果となりましたが価値のある戦いでもございました。
今年もまた課題は自分に対する先手と相手に対する先手であります。
心を澄ませて相手の内なる声を聞き取り、初戦の1ゲーム目から沸沸と湧き出るようなモチベーションを維持し、セオリーをしっかりと心掛け、奇数ゲームを制する事ができれば一流の証明であるベスト8に進むことも可能になります。ベスト8に入れば何が起きるかわかりません。入ったすべてのチームにチャンスが出てきますし、本当の意味での底力そして人間性が問われる場となってきます。
ベスト8までに負ける可能性は70から80%あるでしょう。しかし勝ち切る可能性も20から30%あるのです。自分の心の中から発してくるすべての信号を真摯に受け止め、いますばらしい大会「天皇杯」で勝負できることに感謝し、正々堂々狙っていって欲しいと願っています。

年に何度も道外遠征を行い、自分の可能性を信じて天皇杯にチャレンジしつづけた何人かの先輩たちから大いなるエネルギーをもらって・・・。

「いざ大阪へ」

前の記事

No.5 山形

次の記事

No.7 前へ